第71回:ねこねこソフトという会社(2001/09/04)


皆さん『ねこねこソフト』という会社を御存知でしょうか?
名前から察する通り(本当か!?)、ゲームソフト会社(アダルトゲーム)です。
代表作は『銀色』『みずいろ』などで、つい4日程前に『銀色完全版』を発売しています。
(というか、あと『White せつなさの欠片』というゲームしか作ってません)
昨年発売された『銀色』が大ヒットとなり、続いて今年発売の『みずいろ』もかなりの好評を得まして、
現在は18禁ゲーム業界の中でもネームバリューのあるソフトハウス会社に位置しています。
なもので、18禁ゲームを嗜む方はかなりの確率で知っているでしょう。

売れるからにはちゃんとした物を作っています。
シナリオは勿論、グラフィックも丁寧で綺麗ですし、音楽も良い曲が揃っており、
人によってストーリーの好き嫌いはあるかもしれませんが、
全体を見るときちんとまとまっているため、決して悪い印象を受けない作品を作ります。
(個人的に音楽は全作品を通じて大好きです。)
また、ゲームの内容に直接の影響は及ぼさないのですが、
『銀色』では日本語と英語を切り替えられるという非常に面白い機能も付けてくれました。
(これ、結構カッコイイんですよ。私、英語モードで再プレイしちゃいました。)

で、「今、一番好きなソフト会社を挙げろ」と言われたら、私は真っ先にこの会社を挙げます。
ゲームが面白いから?シナリオが良いから?音楽が好きだから?18禁ゲームだから?
それらも理由の一つにはなりますが、それだけでは胸を張って「一番好き」とは宣言できません。
ちゃんとした物を作る会社なら他にも沢山ありますからね。
(ゲーム会社総数の絶対比率から見れば少ないかもしれませんけど)

では、一番の理由は何なのか?
それは、一番ユーザーに近い位置にこの会社がいるからなのです。

「一番ユーザーに近い位置」というのは私なりの表現ですから、
そう言われてもピンと来ない方が多いでしょう。

簡単に言えば、ユーザーを非常に大事にしてくれる会社ということです。

私が知ってる限り、ディレクターがユーザーのインタビューに丁寧に答えていたり、
作品に対して否定的な意見を持つ人間に時には直接話を伺ったりして、
「何が悪かったのか」を真に受け止めるよう心掛けているみたいです。
そういった製作者とユーザーの距離を微塵にも感じさせないようなスタイルを持っています。
作品のクオリティの高さの決定には、ユーザーが担う部分もあると私は考えます。
製作者とユーザーが一方通行同士では、決して良いものは生まれないでしょう。
ユーザーに頼りすぎるのも問題ですが、ユーザーが置き去りにされてしまうのはもっと問題かと。
やっぱり、ユーザー側としても製作者との距離はできるかぎり近い位置でありたいと思いますし。
そういったところのバランスが非常に良い会社なんですね。

何でこんな話を突然コラムに書いたかと言いますと、
先週末の『銀色完全版』の発売の際、旧『銀色』を持っている方には
飽くまで差分ファイルとして『銀色完全版』を無料配布したんですが、それが昨日届いたんです。
ねこねこさん曰く、1年前のゲームをほぼ同じ形で出すので旧作所持者には無料配布、だそうで。
こういった細かい部分でのユーザーの配慮が非常に嬉しかったんですね。
「ああ、やっぱりねこねこソフトだなあ」と思いました。

総括して、こういった姿勢は全部が全部見習わないまでも正しく評価されるべきです。
ジャンルは違えど同じパッケージソフト製作会社に勤める身としては、
正直頭が下がる思いであります。素晴らしいと思いますよ、本当に。

あ、決してタダでゲームくれるから一番好きなゲーム会社というわけではありませんよ。
無料で貰えるのは知ってましたが、ちゃんとした製品版も買いましたから。

※また、興味のある方は『ねこねこソフト』を覗いてみるのもいいかもしれません。
 ただし、18歳未満の方は御遠慮ください。


ねこねこソフト: