第79回:さあ、始めましょうか 其の弐(2001/11/1)


さて、予告通りにTFAのストーリー部分の感想を述べることにします。
1ヶ月前にプレイしたとは思えないほど、不思議と強烈な感想が残っています。
良い意味でも悪い意味でも印象に残る作品だったってことですかね。

でも、「○○はどうなったんだろう」といった類の感想は殆どありません。
ホント、自分の思った事をそのまんま書きますので。
「小次郎サイト」「まりなサイト」「2人のまりな」「総合評価」の4本立てでいきます。
期待していた内容で無かった方、ゴメンナサイ。
はっきり言ってTFAというゲームの感想ではないかもしれません。
内容に関して意見のある人は御気軽にどうぞ。

<小次郎サイト>

大変面白かったです。
ADAMと重なる部分も、上手くまとめてあると思います。
ちょっとZEROの色が強い(ZEROを意識している)ような感はありましたが、
私は「人を殺す事に抵抗がある」方が好きなので(というよりはそれが普通だと思う)、
素直に受け入れる事が出来ました。

命に代えても守りたい・守るべきヒトがいるのなら、
人を殺める事に抵抗があった方が自然だと思うんです。
小次郎の場合、まだ弥生か氷室かは定かではありませんが、
この2人に危険が忍び寄った時のことを考えると、命というものをより深く感じるでしょう。
そんな姿が小次郎にあってもいいな、と。
例え敵とは言え、「命の尊さ」は別物だと思いますし。

ZERO色が強いとは言え、burstでは真弥子、Lostでは氷室、
命の尊さを間近で体験している訳ですから、拒絶反応を示すほどの違和感はありませんでした。

本部長の「君は変わっちゃいけない人間なんだ」は、
そんな命の尊さを知る部分をいつまでも持ち続けて欲しい、
そんな願いが込められていたのではないでしょうか。

小次郎の場合、「弥生」「氷室」という存在を絡めて話が進まざるをえないので、
より人間的な感情・心情・行動なんかを表現できるところが、
ストーリーに良いアクセントを付ける結果に繋がっていると思います。
身体能力的にはスーパーマンなんですけど、
心、特に恋愛感情なんかは結構生身の人間っぽく表現されていますのでね。

全体的に人間的な躍動感を感じる事が出来た小次郎サイトでした。

<まりなサイト>

本当に言いたい事は次の<2人のまりな>で述べます。
とりあえず、ADAMと重なる部分は小次郎サイト同様上手くまとめてあると思います。
平井との関係の持っていき方も、ADAMより全然自然だと思いますし、
(ADAMは平井とHに発展、TFAでは怪我の治療をする)
アドリアとの絡みも「いったいどうなるんだ!?」と期待を膨らます展開だったと思います。
(結果的に3枚目でその期待は萎んでしまいましたが・・・)

ただ、ユカの性格と小次郎と会うときの事はちょっと気になりましたが。
ユカは両親が殺されたのに明るすぎ。(最近の若者はそんなものなのか?)
そして、小次郎と会っても家には招待しない。
弥生想いの彼女が気にしない筈ないと思うし、ましてや隣は弥生の部屋だし。

あ、そうそう桐野杏子がちょっとLostのイメージと変わってましたね。
3年もあれば人も変わるだろう、と自分で納得させましたが、
「はじめまして、小次郎さん」はないと思うぞ。
そんなに記憶力が無いのか?桐野杏子。

こういった矛盾点は言ったらキリが無いので止めておきます。
というより、次で語る予定のまりなに関することで、
そんな矛盾は全然ちっぽけに見えてしまった、というのが事実です。

まりなサイトは可も無く不可も無くといった感じですか。
未だに自分でも評価し切れないでいます。
それでは、次に進みましょう。

<2人のまりな>

皆様に前以て言っておきます。
ここの感想を読んで気分を害された方、申し訳ありません。
ただ、私の心に『悪意』が無い事だけは御理解願います。
EVEシリーズを愛する一人の人間の持つ、そう、これも一つの愛の形と思ってください。

では、本題へ。
皆さん御存知の通り、まりなの性格がガラリと変わりました。
性格だけなら兎も角、想像もつかないような裏の素顔まで出てきました。
少なくとも、burstのまりなとTFAのまりなは全くの別人と言い切ります。

1.真弥子がインシュリンのビンを取った時、別の悪い薬と勘違いして真弥子を殴った。
2.麻薬は自分の商売道具であり、実は麻薬シンジゲートの実質的なドンだった。

私は上記1.2が同一人物とは思いません。

1.笑う角には福きたる、よ。さっ、笑って。
2.たとえ全世界が滅びたって、私一人が笑っていられれば、私はそれでオッケーなんだから。

私は上記1.2が同一人物の口から出た台詞だとは思えません。

まりなの持つ人生観、「人生楽しまなきゃいけない」は
文字だけ見ると同じなのですが、それに秘められた想いはまったくの別物になっています。

これまでまりなも小次郎とは別々の角度からであれ、
「命の尊さ」を実感して成長しているものだと思っていました。
ZEROではトア、burstでは真弥子、LostではLostOne感染者、
その他多くの命を落としてきた人達を目の当たりにしてきたわけですから。
この辺の捉え方は人夫々だと思いますが、少なくとも皆さんの中での法条まりなは、
「自分さえ良ければOK」みたいな台詞は吐かない人物だったと思います。

しかし、これら全てが否定される、
要するにEVEシリーズで成長してきた法条まりなを否定するような過去や台詞を出されたのです。

百歩譲って麻薬絡みの過去に目を瞑ったにしても、
(真弥子を殴ったときは「私のようになっちゃいけない!」と思ったのだとして)
私一人が笑っていられればオッケー、というのは目を瞑れません。
何より「ねえ笑って、そうすれば私幸せになれる。生まれてきた意味がある。」
と言った真弥子をまりなの中で全て否定する事になってしまうからです。
私、真弥子のこの台詞で更に涙が込み上げてきたのを今でも覚えています。
自分さえ良ければOKだったら、この台詞に対して「バカだこいつ」と
内心は思ってた可能性だってあります。
法条まりなだけでなく御堂真弥子という存在も否定してしまっている気がします。
そして、この真弥子の台詞で泣いたユーザーの人々をも・・・。
ここが一番辛い所なんです、実際。
真弥子はみんなが笑うことで生きてきた証を得たかった、
そして生きてきた証を得て御堂真弥子として生涯を終える事が出来たのに・・・。
「私が最後に笑っていればOK」、そりゃないでしょうに。
変な話、トリスタン号の一件は「あー助かって良かった。ハハハ。」だったかもしれません。
それはちょっと酷すぎますよねえ・・・。

もしかすると、真弥子を助けられなかったことが尾を引いて、
結果的に性格が変わってしまった、のかもしれませんけどね・・・。
でも、これはちょっと辛い理由だなあ、正直。

性格を変えたりするのは良いですが、それまでを否定してしまうようなのはどうかな、と。
TFA単体で見たら悪くは無いと思うんです。
確かにburstとシナリオライターが違います。
シナリオライターが違うのならその人の思う通りに書けば良い、という意見には反対しません。
でも、自分の書いた物でないからこそ大事に守っていかなきゃいけない、というのもある筈です。
その辺の折衷案が難しいところなのですが、私的にはちょっと一方に偏りすぎていると感じます。

で、これは私が戴いた数々の小説に出てくる法条まりなに少なからず影響します。
市販EVEシリーズだけでなく、こういった2次創作物のまりなまで否定されています。
まあ、そんなの知ったこっちゃ無い!というのが製作者側の意見でしょうけど、
シリーズという概念を考えれば、ユーザーもEVEシリーズの製作に当たる一人であり、
EVEという作品を大事にしながら盛り上げていった人達に全てに対して、
聊か冒険的すぎたような気がしますが・・・。
少なからず、私の戴いた小説の中からまりなが出てくる作品を読み返しましたが、
TFAのまりなの性格からは到底考えもつかないような内容です。
上手く言い表せないんですが、ユーザーの期待を間接的に裏切っているような
そんな感じがするんですよね・・・。
スミマセン、適切な言葉が浮かばないです。
言い過ぎだったらゴメンナサイ。

あと、ゲームの中身以外で残念に思っていることが一つ。
それは、結果的にEVEユーザーの中に2人の法条まりなが存在してしまったと言う事。
(私だけだったらゴメンナサイ)
シビアに時間機軸だけみると、burstのまりなは「過去のまりな」になります。
当然、TFAからプレイした人もいるわけで、
その人にとっての法条まりなはTFAのがベースです。
そして次にburstなどをプレイしたとき、法条まりなを見て困惑するでしょう。
そう、私のようなシリーズを順番でプレイしている者の逆を辿る感じですね。
この時「昔はこうだったんだな」と思う人も多いかと思います。
こういうのはシリーズ物では問題ありだと思うんですけどね、私は。

読み返してみて、私の心の内を上手く伝えられてないような気がしますが、
兎に角「真弥子が否定された」と感じたのが一番ショックでした。
プレイ後3日間くらい色々と考えましたからねえ・・・。

<総合評価>

まず、一つの作品という視点で見ればストーリーは面白かったです。
少なくとも、ADAMがベースになっていた2枚目までは素晴らしい展開だったと思いますし。
謎が謎を呼ぶ形で終わってしまった感のある3枚目も、
販売戦略云々大人の話はこの際抜きにして、次回作への布石だと私的に納得してます。

でも、シリーズ作品としての視点&総合評価としては残念ながらかなり低いです。
その最大の理由はキャラを弄りすぎていること。
ことシリーズ物ではキャラへの期待に占める割合が当然高くなります。
しかし、シリーズの流れから大きく逸れてしまうような性格付けや、
ADAMを無かった事にしようと思える設定はちょっとどうかな、と思います。
ユーザーの期待度が高いのを利用して「意外性」を打ち出すことは一つの手法だと思いますが、
その意外性がユーザーの期待を更に煽るような物なら兎も角、
大半のユーザーが反発するような物だったら考える余地があるんじゃないかなあ、と。
EVEという存在も、あれだけのバーゲンセールをやってしまうと、
次に新しいEVEの存在が明らかになっても「ああ、またか」で終わってしまいます。
「えっ!こいつEVEだったの!?」という驚きと、
「こいつ、今後どうなるんだろう」というドキドキワクワク感がもう生まれなくなってしまいました。
これは結構悲しいかなあ、やっぱり。

まあ、総合評価としてかなり低いと言いましたが、
PS版TFAの内容を今後のEVEシリーズでどのように昇華していくのか、
今後の展開に大いに期待しています。
言うなれば、今回の評価は「期待を込めて」のものですから。

確かにまりなショックは大きかったですが、
それを将来的に受け入れられるようになるような隠し玉を
シーズウェア、いやシナリオライターの方が必ず持っていると思います。
何故なら、ここまでシリーズ物のキャラ性格を変えてしまうのは、
自分の思い描くシナリオ・キャラに絶対的な自信があるからだと思うから。
製作者サイドに「ユーザの固定観念を崩壊させてしまうことへの覚悟」はあったでしょう。
今回の場合、既存の物に+αのバージョンアップを施すのではなく、
既存の物を壊して最初から作りなおしていくようなものですからね
今回のショックを忘れさせてくれるような展開が待っていることを信じています。

とりあえずは、12月のPC版TFAですか。
最初のbursterrorを除けば、一番楽しみなリリースかもしれません。
良い意味で期待度が高いですもの。
PS版TFAの内容からどうやってまとめるのか、皆様も気になりませんか?

最後に、一言だけ。
前向きに考えていますが、特にまりなに関してはまだ相当のショックが残っています。
情けない話なのですが、今後皆様の前でTFAを語る時、
『後向きな姿勢』と『前向きな姿勢』の両方を見せてしまうでしょう。
皆様から「どっちなんだこいつは!?」と思われてしまうかもしれませんが、
その辺は御了承下さい。


TFAの感想は以上です。
でも、感想には程遠い内容かなあ・・・
どうなんでしょう、自分でも混乱してきました・・・。
もしかしたら「追記」という形でもう一度書くかもしれません。

長文且乱文でしたが、最後まで御読み戴き有難う御座いました。